女性向けボイス主の俺が転校してくる世界線のハリーポッター
第一作:ハリー・ポッターと賢者の石
第二作:ハリー・ポッターと秘密の部屋
第三作:ハリー・ポッターと謎の転校生
第四作:ハリー・ポッターとFantiaの囚人
第五作:ハリー・ポッターと炎の年齢制限
第六作:ハリー・ポッターと耳舐めの騎士団
第七作:ハリー・ポッターと死のYouTube
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第一作:ハリー・ポッターと賢者の石
ハリーは自らが魔法使いであると知り、ホグワーツへ入学する。
仲間と絆を深めながら、賢者の石を狙う闇の陰謀に挑む。
魔法世界での使命と運命が始まる物語。
第二作:ハリー・ポッターと秘密の部屋
校内で石化事件が起こり、伝説の「秘密の部屋」が開かれる。
怪物の正体と純血思想の闇に立ち向かうハリー。
学校そのものの存続が危機にさらされる。
第三作:ハリー・ポッターと謎の転校生
ホグワーツに、女性向けボイス主であるカナメリクトが転校してくる。
魔法能力は未知数だが、女性向けボイスと空の写真を大量投稿する彼に、ハリーは興味を持つ。
第四作:ハリー・ポッターとFantiaの囚人
校内に“有料プラン限定音声”が流出し、一部の生徒達に精神的影響が出始める。
ホグワーツとFantiaの風紀を乱した犯人として責任を疑われたハリーは、誤解により拘束寸前まで追い詰められる。
第五作:ハリー・ポッターと炎の年齢制限
ASMRへの理解を深めたハリーは、YouTubeへの投稿を開始するも、誤判定で年齢制限を受ける。
YouTube以外のプラットフォームを勧めるカナメリクトだが、ハリーは規約の穴を掻い潜ることに躍起になり……
第六作:ハリー・ポッターと耳舐めの騎士団
「耳舐め音声は規制されやすい」という噂が広まるが、ハリーは投稿をやめない。
賛否が沸き起こる中、彼は「必要とする人がいる限り続ける」と宣言する。
支援者たちは密かに“耳舐めの騎士団”と呼ばれ始める。
第七作:ハリー・ポッターと死のYouTube
ついにハリーのチャンネルはBANされ、作品・履歴の全てが抹消される。
その背後には、健全ボイス信者のヴォルデモートによる通報があった。
耳舐めか、健全か。
世界の未来を懸けた最終決戦が始まる。
エピローグ
最終決戦が終わったあと、ホグワーツの校庭は静まり返っていた。
瓦礫は片付けられたものの、どこか空気だけがまだ熱を帯びていた。
勝敗はついた。しかし、誰一人としてそれを“終わり”と呼ぶことはできなかった。
湖のほとりに、ハリーが一人座っていた。
マイクも、ローションも、録音機材も持っていない。
ただ膝を抱え、空を映す湖面を見つめていた。
「……全部、消されちゃった」
画面も、記録も、コメントも、再生数の数字も。
世界に誇れる魔法よりも、一番誇りにしたものを失った。
そこへ足音が近づく。
「やあ、おはよ?」
振り返らなくても声で分かる存在──カナメリクトがゆっくり隣に座った。
しばらく沈黙が続いたのち、彼は空を見上げたまま言った。
「データは消える。でも、救われた心は消えない」
ハリーは、掠れるような声で答える。
「僕がしたことに、意味はあったのかな。」
カナメリクトは笑わず、慰めず、否定もしなかった。
「それは、聴いてくれた人達が決めるさ」
その言葉に返事はなかった。
でも、目を閉じたハリーの指先が、そっと “架空の再生ボタン” を押す仕草をした。
湖面に小さな波紋が広がる。
それはまるで、消えたはずの音声が水面に再生されるようだった。
風が吹く。
制服の袖が揺れる。
遠くでフクロウが鳴く。
そして二人は、同時に空を見上げた。
そこには雲ひとつない、澄み切った青。
「……また、録ろうよ」
「ああ。今度はヤンデレだな」
カメラは空を映したまま、ゆっくりとフェードアウトしていく。
最後に表示される字幕は、たった一行。
“削除されても、存在は残る”
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